(1)給与アップにつながるキャリアとは~保育士編~
保育士の方が転職するとき、次の転職先での給与が決められていく上でポイントになることをいくつかあげておきましょう。
①資格の有無
保育士資格はもちろんのこと、幼稚園教諭を持っているかどうかを気にする園もあります。特にこども園の場合は幅広い児童を対象にしていますから、両方の資格を持っている方が欲しいという場合があります。
また幼稚園教諭も1種なのか2種なのかで給与が違う場合があります。これは4年制の大学卒業とみなされるのか、2年制の短大・専門学校卒業とみなされるのかという違いです。給与面で区別する場合は、4年制の大学卒業とみなされる幼稚園教諭1種を持っている方が給与は高くなります。
②役職やリーダーの経験
前職でリーダー経験がある場合は、給与アップポイントになるでしょう。仮に転職先でその時リーダーのポジションの空きがなくても、この先リーダーになる候補として考えてもらえることもあります。園によって求められるスキルは違いますから、面接時にどの範囲まで前職で行ってきたのかをしっかりとアピールし、ポイントアップにつなげましょう。
③認可保育園での勤務経験
園側・法人側の方針として、保育士の経験を数える場合、認可保育園での勤務年数のみを経験年数として数えることがあります。それは認可基準は非常に厳しく、園庭や部屋の広さなどの設備や環境の認可基準を満たした状態で、どれくらい保育士として勤務してきたのかを大切にしているということでしょう。
もちろんそれは一部の園側・法人側の方針であってすべてではありません。ただ一つのポイントになることでありますので、覚えておくとよいでしょう。
(2)保育士のキャリアアッププラン
現在、保育士のキャリアアッププランは以下のような流れになっています。
1)(地域限定保育士)※限定された地域のみ
2)保育士
3)職務分野別リーダー 月額5000円の処遇改善手当が加算されます
4)副主任保育士 または 専門リーダー 月額40000円の処遇改善手当が加算されます
5)主任保育士 月額加算額は各園により異なります
6)園長 月額加算額は各園により異なります。
それぞれの役職に関するご説明はこちらをご覧ください
保育園で働こう!【https://hoiku-nav.com/memo/?p=396】
平成29年度から以上のよう流れになり、主任保育士になるまでにいくつかの役職が設けられることになりました。これによって役職に就ける保育士の数を増やし、キャリアアップしやすい仕組みが作られると期待されています。
(3)転職活動時期と退職時期
転職活動は準備が大切!現状をどう変えたくて転職するのか、自分の何が生かせるのか、どのような職場で働きたいか、まずは自分の中でしっかりと整理することが大切です。
細かく条件を出していき、その中で優先順位をつけていくとより明確になります。保育園の場合は、年末から3月上旬にかけてが一番求人に動きが出る時期です。年度末で退職される方が多く、保育園の中には職員に意向調査をし、次年度に向けての採用計画を立てるところもあります。転職活動期間は、準備ができていれば3ヶ月以内という方が多いでしょう。
転職活動の前、転職活動中、ある程度転職活動が進んでから、いろいろなタイミングがありますが、退職の意思が固まっているのであれば、早めの相談が円満退職の秘訣です。自分が抜けることで職場は人手不足になります。
退職の意思を告げるとその後働きづらくなると心配になることもあるでしょう。しかし職場として一番困るのは、人材募集をする時間もなく突然退職されてしまうことです。法律上は1ヶ月前に職場に伝えることが決められていますが、なるべく早めにその意思をしっかりと伝え、現職場での最後の勤務までしっかりと務めましょう。
(4)履歴書の書き方
履歴書や職務経歴書というのは、応募した勤務先に与える第一印象となります。内容だけでなく、文字の大きさ、書き方・並べ方、写真の貼り方を通して「わたし」という人柄をみられることになります。丁寧に心を込めて履歴書を作るように心がけましょう。
<手書きか?パソコンか?>
指定がない限り、どちらで作成しても構いません。ただ履歴書は前述したとおり、たくさんの応募者がいる中で自分の人柄や思いを伝えるものです。それを考慮すると手書きの方が効果的なことも多々あります。
一方で職務経歴書はパソコンで作成するというのが一般的です。
<サイズは?>
指定がない限り、B5(B4)またはA4サイズが一般的でしょう。
見やすければ、サイズに関してはどちらでも構いません。
<基本情報の書き方>
①日付
- 履歴書・職務経歴書全体を通して、西暦か和暦かを統一します。
- 面接日、郵送の場合は投函日を記載します。
②氏名
- 大きく書き、姓と名の間には空白を作ります。
- 「ふりがな」はひらがなで、「フリガナ」はカタカナで記入します。
③生年月日
- こちらも①と同様、西暦か和暦、統一した方で記入します。
④年齢
- ①の日付の時の年齢を記入します。
⑤住所
- 郵便番号を忘れずに、都道府県から記入します。
- マンション名もふりがな(フリガナ)を忘れずに記入します。
- 現住所とは違った住所へ連絡が欲しい場合のみ、下段に記載します。
ない場合は、「同上」と記入します。
⑥電話番号
- 固定電話がない場合は携帯電話のみ記入します。
⑦メールアドレス
- 連絡が取りやすい個人のアドレスにします。
現在は携帯のメールアドレスだけではなく、スマホやパソコンでも対応ができるフリーのメールアドレスを記入することが多くなっています。
⑧写真に関して
- サイズは縦3.6cm~4.0cm、横2.4cm~3.0cmのものにします。
- カラー写真、正面から胸部あたりまで、3ヶ月以内に撮影したものを使用します
- 服装はスーツやジャケットを着用するのが一般的です。
そしてきれいに貼りましょう!これが一番大切です。
- 大きさが合っていますか?
- 写真はきれいにカットできていますか?
- 糊の跡がついてしまっていませんか?
- 枠に沿って貼ることができていますか、曲がっていませんか
写真は最後に、すべて書き終えた後に貼りましょう。
万が一剥がれてしまっても誰の写真であるかわかるために、写真の裏には名前を記入します。
<学歴・職歴の書き方>
一段目に「学歴」、学歴が終わったら一段開けて「職歴」と記入して、学歴と職歴をしっかりと分けます。こちらで記載する年も、履歴書全体で統一した西暦か和暦で記入します。
【学歴の書き方】
- 最終学歴の一つ前から記入します。
- 学部・学科まで記入します。
- 学校名は正式名称で、高校は高等学校と記入します。
【職歴の書き方】
- 時系列に沿って、会社名を正式名称で記入します。
- その下に部署や業務内容を簡潔に記入します。
- 会社名が変更になった場合はカッコ書きで(現 ~会社)と記入します。
- 同企業内異動で、部署変更した場合も記入します。
- すべて記入し終わったらその下に「現在に至る」と記入し、さらにその下段右寄せで「以上」と記入します。退職日が決まっている場合は、現在に至るの後カッコ書きで(○○年○○月に退職予定)と記入します。
<免許・資格欄の書き方>
- こちらで記載する年も、履歴書全体で統一した西暦か和暦で記入します。
- 先に免許、次に資格を記入します。
- 免許や資格は正式名称で記入しましょう。
(例)
- 自動車免許:普通自動車第一種運転免許(AT限定)
- 英検:実用英語技能検定●級
保育士
- 国家戦略特別区域限定保育士(地域限定保育士)
- 幼稚園教諭1種
- 幼稚園教諭2種
- 栄養士
- 管理栄養士
- 調理師
免許は「取得」、試験は「合格」、研修は「修了」と記入します。
最後に勉強中のものがあれば、記入しておきましょう。
<志望動機欄の書き方>
以下の「わたし」に関するアピールポイントが重要になります!
- 応募先が欲しい人材としての「わたし」を伝えられていますか?
- 経歴や資格を生かして仕事ができる「わたし」を伝えられていますか?
- 応募先の何と「わたし」のやりたいことが合致しているといえますか?
<趣味・特技、本人希望欄、その他諸項目の書き方>
- 趣味や特技は、応募先の業務内容と直接結びつかなくても記入します。面接時に、話題として取り上げられ、印象を残す場合があります。
- 原則待遇面は「貴社の規定に従います」と記入します。
- 通勤時間は、90分以内が一般的です。内定後引っ越しを考える場合は、「内定後転居予定」と本人希望欄に記載します。
- 配偶者の有無は、手当にも関わることなので記入します。
(5)面接の心得
【持ち物】
- 履歴書・職務経歴書など提出書類一式
- 筆記用具、メモ帳、印鑑
【事前確認しておくこと】
- 面接場所の住所や行き方、電話番号、担当者を確認
遅刻は厳禁です。時間には余裕を持って向かいましょう。万が一何かあった場合に連絡する電話番号と担当者を確認しましょう。
- 用意した履歴書・職務経歴書の確認
履歴書・職務経歴書の内容は面接時に口頭で聞かれるので、履歴書と口頭で答えることに差がないよう、一貫して答えられるようにしておきましょう。
【面接時のポイント】
焦らずに、ゆっくりと、丁寧に!
- 語尾をはっきりと、全体的にハキハキと話すようにしましょう。
- 話す速度はゆっくりと丁寧さを心がけましょう。
- 敬語がうまく使えなかったり、話がうまくまとまらなくても、焦らずに最後まで伝えましょう。
- 「はい」か「いいえ」で答えられる質問であるのか、具体的に説明する必要がある質問であるのか、整理しながら答えるようにしましょう。
緊張しているのは、面接を受ける側だけではありません。面接担当者にとっても、まったく知らない人を自社に受け入れることができるのかを見極める大事な場面なのです。
焦らずに、ゆっくりと、丁寧に!この三拍子が基本です。
(6)保育士資格試験、実技試験について
実技試験は以下の3種の中から2種を選択し、受験します。実技試験の内容は事前に発表され、準備をした上で臨むことができます。合格基準としては、6割以上の得点が必要になります。
1.音楽に関する技術
課題曲2曲が事前に発表され、ピアノ・アコースティックギター・アコーディオンの中から一つを選び、その楽器を弾きながら歌います。ピアノ以外の楽器は持参し、楽譜は市販のものを使ってもよいとされています。演奏しやすいように、歌いやすいように移調(キーを変えること)も可能です。子どもに向かって歌うことを想定します。わかりやすく、楽しく聴かせることが大切になります。
2.造形表現に関する技術
決められた時間内で、保育の一場面を絵にかきます。その場面での条件(保育士や子どもの数、動作に関すること)に関しては当日提示されます。鉛筆・色鉛筆・消しゴムを持参し(クレヨンなどは不可)、B4サイズで描きます。
3.言語表現に関する技術
数十名の子どもたちに読み聞かせられるような童話を用意し、3分間口演します。題材は受験者側で決められ、自作の話でも可能です。時間はタイムキーパーが計り、途中で話が終わってしまっても採点に響くことはありません。
大切なのは、子どもを惹き込む語りができるかどうかです。子どもたちが飽きることなく、集中して話を聞くことができるように抑揚をつけて物語を展開させることが求められます。